Jerking

Jerking

       
 ジャーキングは、トィッテングと並んでサクラマスアクションの重要なファクター
である。この2つのアクションを例えるならば、トイッティングは、弱って痙攣し、
水面を漂っている小魚を演出し、ジャーキングは、水中を勢いよく逃げ惑う小魚の演
出だろうか。この2つの演出の違いは、狙うポイントでもある程度使い分けている。
トィッテングは、流れのあるところで、流速を利用して魚にアピールするのに対して
、ジャーキングは、比較的流れの緩い大淵やドトロ、流れの緩いプールのような大場
所で多用している。季節はあまり関係くポイントの条件により使い分ける。特に雪代
前の流れの弱い時期や渇水時期の大淵の底などに有効なアクションだ。

   

 このジャーキングのきっかけだが、それは家で飼っている2匹のカメの捕食動作に
影響された。もともとジャーキングの存在に関しては、雑誌などでも取り上げられて
知ってはいたが、その釣法の原理が実感として沸いてこなかった。

 ある日、夏祭りですくいで捕ってきた金魚をカメに与えたところ、今までおとなし
かった2匹のカメが、猛然と金魚に襲いかかったのだ。当然金魚の方も必死に逃げる
のだが、金魚が早く逃げれば逃げるほど、カメのスピードは増し、一撃で捕らえて飲
み込んでしまった。更に興味深いことに、じっとしている金魚には、警戒心を持ちな
がらゆっくり近づき、金魚が逃げ出すと、カメも突然猛然と追いかけ出すのだ。この
捕食行動に、まさに動物の本能を感じた。と同時に、これがジャーキングの釣法の原
理では!?と確信した。

   

 私のジャーキングの場合、ロッドは寝かせた状態で、正面からサイドに約70~
80度くらい、一気に勢い良くジャークさせる。この時1回のジャークで動くルアー
の距離は、約60、70cmくらい。小魚が加速し全力で逃げる距離は、精々そのく
らいと思っている。その後ロッドを正面に戻しながら、ラインスラッグを取りる。
そしてこの動作を繰り返し、同ストロークで、小魚が「スー」と一瞬加速し、その後
ストップする様子を演出する。体力がある間は、自分の左右にジャークする方向を入
れ替えて、小魚がストップ後、方向を変えて逃げるアクションも入れるのだが、右利
きの場合、右側のジャークは、胸を開く方向にあり、胸の筋肉を使う為、体力の消耗
が大きい。普段は左側のジャークを使うようにしている。

 困った時には、ジャーキング。大渕やドトロのような大場所では、流れのあるポイ
ントと比べると魚もルアーを見切る時間があるためか、中々ヒットに持ち込むのは難
しい場所だ。このようなポイントに潜んでいる魚は、やる気のない魚が多いと思って
る。ジャーキングを使う前は、このような大場所でのヒットはあまり無かったが、ジ
ャーキングを使えるようになってからは、大場所の底から、大物を引き出せるように
なった。しかもほとんどがビッグワンだ。
「困った時には、ジャーキング!」だと思っている。
やる気の無いビッグトラウトもついついリアクションバイトしてしまうようだ。