Twitching

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 4月の中旬、桜の花が咲く頃になると、最高の季節がやってくる。魚の遡上も多く
なり、中流域まで入り込む。水温も6~10度くらいまで上がり、スプーンでもミノー
でも狙える。そして5月のゴールデンウィークを境に河口域での釣りは、終息方向に
なる。それ以降は私が最も得意とする中流域のRun&Ganのテクニカルシーズンとな
る。
   

 中流の釣りは、河口域の釣と全く異なる。サクラはメタリックブルーの魚体から、
シルバーブラウンに変わり、ウロコもあまり剥がれなくなる。まさにスーパーヤマメ
に変身する。警戒心も強く、河口域でルアーをかなり見てきているため、そう簡単に
はヒットしない。当然群れもバラケるため、魚に遭遇するチャンスも河口域に比べて
低くなる。「河口では釣ったことはあるけど、中流では釣果があまりない」と言うア
ングラーも結構多い。河口域ではビギナーズラックはあれど、中流域の流れの中では
そう簡単に手にすることはできない。それだけ釣りの腕が試されるシーズンとなる。

   

 この時期使うルアーは、ミノーがどうしても多くなる。川幅も河口域と比べると随
分と狭くなり、連日のようにアングラーにルアーで追いかけまわされるサクラはスレ
きってしまう。またシーズンが進むにつれ、水量は減少し気温の上昇と共に川の水温
もどんどん上がってくる。サクラの警戒心は更に増し、単純なルアーアクションでは
中々ヒットしなくなる。そこで登場するのが、トイッチング・ジャーク・シェイキン
グといったロッドアクションだ。これらのテクニックを駆使し、リアクションバイト
でサクラに口を使わせるのだ。中流域のサクラを狙うには、このテクニックは不可欠
と言えよう。
   

 私の場合はトイッチングを基本とし、U‐Effectを効果的に使う。またダウンクロス
トイッチングはスレたサクラには有効でミノーを見せる時間を長く取ることができる。
また、ジャーキングは最後の手段。これらを組合せ複雑な流れの中を操る。川の流速
とミノーへの抵抗から水面とロッドの角度を自動計算し、どの角度からもトイッチン
グを繰り出せるようにする。そうすることにより、激しい水中アクションでのミノー
が水面から飛び出るのを防ぎ、有利にレンジを攻めることがでる。
ヒットパターンで多いのは、正面にキャスト後、段々と下流に流されながら潜行し、
ミノーに抵抗を受け始めたところから、U字になって向きを変えるまでの間が一番の
バイトしてくるタイミングだと思う。過去、中流にてヒットしたサクラは、このパタ
ーンが多いかもしれない。
 私がサクラを始めた頃は、トイッチングをしている人はほとんど居なかった。スプ
ーンのただ引きが主流の時代であった。当時の私の釣り方を見て、疑問を投げかける
アングラーもいたが、今やサクラは”リアクションバイト”で掛けると言う私の釣り方
は当たり前のようになってきている。