Hit & Landing

Hit & Landing


 年に1本獲れればいいと言うサクラマス。場合によっては、年に1回ヒットすればい
い方かもしれない。折角ヒットしても、その魚を獲れる確率は、半分くらいだろうか。
このゲット率を上げることもサクラマスを獲る重要なポイントだ。
サクラマスをヒットさせるのは、かなりの割合で運や釣行回数によるものがあるかも
しれないが、ヒットした魚を確実にランディングできるかどうかは、まさに釣り人の
腕次第だ。
 私はヒットからランディングまでのプロセスを4つのステージに分けて、魚の動き
を予測し、自分がアドバンテージを持てるように、ポジション取りを心がけている。

   

【首振り反転の第1ステージ】
 ドラマは突然やってきます。あれっと思ったとき、既にこの第1ステージに入って
いることが時々あります。サクラをやればやるほど、サクラのあたりが分からなくな
るのです。ルアーをひったくるような当たりは、誰にでも分かります。しかしながら、
ルアーが近くに来てから、押さえ込むようなアタリもかなりあり、一瞬根掛り?と思
うときがあります。次の瞬間、魚振を感じて、魚がヒットしたことを知ります。
 サクラマスの特徴は、ヒットした後、首を左右に振る動作です。そして体をクネク
ネと反転させ、口に掛かった異物(フック)を外そうとします。流れのある時は、こ
のまま水面を跳ねまくります。この時が一番バレが多い時です。この時はジッと我慢
で耐えます。本来は、ヒットの瞬間に、大アワセを3発くらい入れてやれば確実なん
ですが、問題は前記の根掛かりのような押さえ込みのアタリです。一瞬あれっと思い
リーリングを止めてしまう場合があります。
この場合は、殆んどアワセを入れていませんので、かなりの確率でバレが多いと思い
ます。最近は、この対策で、根掛かりでも思いっきり合わせるようにしています。お
かげで、ルアーのロストや破損はかなり多くなりました(ロストはルアー回収器で、
半分は回収してますが)。

   

【走りの第2ステージ】
 サクラは首振り反転で外せないと分かると、今度は走り始める。走る距離は短いが、
凄まじいスピードで左右前後にダッシュする。しかしながらリールのドラグ調整をし
っかり行いロッドワークで魚を跳ねないようにコントロールできれば、まずバレるこ
とはない。あまり走らせて、流れに飲み込まれないように注意は必要だ。もし飲み込
まれた時はどうするか。その時はロッドとラインのパワーを信じて勝負をかけるしか
ない。

【寄せの第3ステージ】
 サクラの勢いが無くなったら、今度は寄せだ。この時私はドラグをもう一段緩く設
定し直す。なぜならば、サクラの最後のターボの走りに対応するためだ。走りにくた
びれたサクラは、比較的簡単に寄って来る。しかしこれからが曲者で、手前に寄って
来て、サクラと目が合った瞬間、突然ターボがかかったかのような走りをする。この
時ドラクが硬すぎると、サクラが水面で暴れてバレの原因になる。また魚とロッドと
の距離が短い分、ラインの伸縮率が遠くでヒットしている時よりも小さいため、フッ
クにかかるテンションが強い状態になる。更にロッドを不用意に立てていると、水面
とラインの角度が鋭角になり、魚が水面で暴れやすくなる。
従って私はドラグは緩く設定し直し、人差し指のサミングでブレーキをかけながら、
サクラを寄せては走らせ、寄せては走らせの繰り返しを行うこととなる。これを数回
繰り返すと、サクラも観念するようだ。

    

【最終ステージの取り込み】
 最後の取り込みは一番緊張するところだ。早くネットに収めたい。この緊張を早く
終わらせたい、と言う気持ちを抑えながら、ネットインのタイミングを見計らう。

 私の場合、ネットは必ず魚の下流にセットする。上流にセットすると、ネットのた
るみが流れによって魚に絡み、最悪ルアーと絡んでしまう場合があるからだ。そして
魚が弱って横になっている時は、頭から誘導してネットインさせる。しかし魚がまだ
まだ走りそうな場合は、次の方法を取る。

ラインテンションを張った状態で、サクラは必ず上流を向いて泳いでいる。ネットは
同じように魚の下流にセットして、そこから一瞬テンションを抜いてやる。そうする
と、魚は自分で反転して、自ら下流(後ろ)にセットしているネットに入ってくる。
このサクラの習性を利用すると、自分で魚をすくわなくても、向こうから入ってくる
のだ。この方法は、特に流れのある中でのランディングには有効である。